ピル(低用量)は、海外では既に 一般的に使用されています。
女性の体内では常に色々なホルモンが分泌されています。
ここでは、月経や妊娠に関わる代表的なホルモンの働きと、海外ではすでに日常的に使用されている低用量ピル(経口避妊薬)の驚きの作用について説明していきます。
引用:https://oggi.jp/
ピルと黄体ホルモンの関係性
低用量ピル(経口避妊薬)の成分である黄体ホルモン(プロゲステロン)は、子宮内を受精卵が着床しやすいように整え、基礎体温を上げて妊娠しやすい環境にしてくれる、とても大切なホルモンです。
女性の月経周期(生理周期)は四つの時期に分けられ、月経期・卵胞期・排卵期・黄体期と呼ばれています。
血流が良くなり、十分な栄養を子宮内膜に与えることによって、子宮内膜をふわふわで厚くした状態に保ちます。
基礎体温が高温期に入るのも、黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されている影響です。
黄体ホルモン(プロゲステロン)は、排卵日以降に分泌が増え、次の月経が始まるまでの間の黄体期が最も黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌される時期になります。
他にも黄体ホルモン(プロゲステロン)には、排卵後に子宮内膜やその周辺の血流良くするはたらきがあります。
月経前症候群(PMS)の原因の一つが、この黄体ホルモン(プロゲステロン)や卵胞ホルモン(エストロゲン)によるホルモンバランスの乱れと言われています。
ホルモンバランスが崩れると月経不順や不正出血の原因にもなります。
低用量ピル(経口避妊薬)を服用すると、体外から女性ホルモンが取り入れられ、女性ホルモンが過剰に分泌されていると脳が判断します。
それにより、女性ホルモンである卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンの分泌を抑えるよう脳が指示を出します。
卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンの分泌が抑えられると、体内は妊娠している状態に近い環境になりますので、結果的に排卵が抑制されます。
引用:https://nishida-family-clinic.com/
ピルと卵胞ホルモン(エストロゲン)の関係性
低用量ピル(経口避妊薬)の成分である卵胞ホルモン(エストロゲン)は、排卵前の子宮内膜の増殖期に分泌量が増加します。
らせん動脈を増生させることで、子宮内膜機能層の増殖・肥厚を促して、受精卵が子宮に着床しやすい環境をつくり出します。
他にも妊娠に備えて、子宮、卵巣、乳房などの器官のはたらきを高め、膣や皮膚、膣以外の粘膜にも潤いを与えます。
分泌量がピークを迎えるのは20代で、その後、分泌量は徐々に減少していきます。
引用:https://www.kounenki-life.net/
卵胞ホルモン(エストロゲン)が活発に分泌される間は、自律神経のバランスを整えることから、脳の血流が促進し、精神的にも身体的にも体調が良く、気分も落ち着いている時期です。
月経前症候群(PMS)の原因の一つが、この卵胞ホルモン(エストロゲン)や黄体ホルモン(プロゲステロン)によるホルモンバランスの乱れと言われています。
ホルモンバランスが崩れると月経不順や不正出血の原因にもなります。
低用量ピル(経口避妊薬)は、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の合剤で、排卵抑制などによる避妊効果や、月経困難症・子宮内膜症の症状を緩和させる薬として使用されています。
また、更年期障害の治療としてもホルモン補充療法として卵胞ホルモン(エストロゲン)は使用されています。
卵胞ホルモン(エストロゲン)は、体内で女性ホルモンとして作り出され、卵巣から分泌される成分ですので、外部から卵胞ホルモン(エストロゲン)そのものを摂取することはできませんが、卵胞ホルモン(エストロゲン)を正しく分泌させるためには、まず健康であることが基本です。
引用:https://www.kobayashi.co.jp/
毎日の食事は栄養バランスの良いものを摂り入れ、健康な体を作るように心がけましょう。
特に、大豆イソフラボン、ビタミンE、ビタミンB6を含む食材には、不足した卵胞ホルモン(エストロゲン)を補ったり、卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌を促したりする働きがあるとされています。
卵胞ホルモン(エストロゲン)などの女性ホルモンをしっかりと分泌させるには、規則正しい生活を送ることが大切です。
特に睡眠不足になると、女性ホルモンの分泌が崩れてしまうので、睡眠不足は大敵です。
寝室の環境を整え、寝つきが良くなるようにストレッチで体を温める、就寝前のスマートフォンの使用は控えるなど、良質な睡眠がとれるように工夫をしましょう。
また、身体の冷えはホルモンバランスの乱れにつながります。
特に冷え性の人は、腹巻や靴下を着用したり、冷たい飲み物避け、温かい飲み物を飲むようにして体内から身体を温める、39℃~41℃前後の温度の湯船に10~15分は浸かるようにするなど、冷え対策をすることも大切です。
引用:https://www.kobayashi.co.jp/
ピルの服用者は,がん死亡のリスクを下げる
ピル(低用量)は経口避妊薬としてだけではなく、卵巣がん・子宮体がん・大腸がんのリスクを減らすこともわかってきました。
引用:https://saveclinic.jp/
卵巣がんにおいては、1年間低用量ピル(経口避妊薬)を使用しただけで約5%の発癌リスク低下が報告されています。
卵巣がんは、卵巣が毎月の破裂と修理をすることを繰り返すことで生じるとされているため、低用量ピル(経口避妊薬)の服用により卵巣が休息することで、がんの発症を抑制すると考えられ、10の使用で約50%卵巣がんのリスクが低下するといわれています。
子宮体がんにおいても、1年間以上の低用量ピル(経口避妊薬)を服用することによって発癌リスクを低下させることができると報告されています。
一度子宮体がんのリスクを低下させることができれば、その効果は20年ほど持続しているという報告もあります。
予防効果は、避妊薬に含まれる卵胞ホルモン(エストロゲン)の量にあまり左右されることなく、また、出産回数やBMI、閉経の有無など各女性の特性にも影響されないとされています。
婦人科系の悪性腫瘍の中でも、乳がんの場合は他のがんと比較してがんの活動が活発になってしまうことがあるので、禁忌(処方してはいけない)とされています。
最近5年の間に乳がんの再発のない女性に対しては、他に適切な方法がない場合を除いて、通常すすめられず、最終的にガイドラインにおいては、発症後5年以上の再発のない女性患者には慎重に投与することとなっています。
乳がんの家族歴のある方は、ない方に比べて乳がんの発症率が高いと言われています。
低用量ピル(経口避妊薬)の服用で新たに乳がんになる発症リスクが高くなることはありませんが、必ず既往歴のある方は初診時に記載し、内服前に乳がん検診をしておいた方が良いでしょう。
ピルと女性ホルモンについてのまとめ
低用量ピルは避妊や月経困難症の治療のために最近では多くの女性が服用しています。
ピルは避妊というイメージが強く,避妊や月経困難症の治療に用いられることが一般的だと思われていた低用量ピル(経口避妊薬)ですが、その低用量ピル(経口避妊薬)が、がん予防になるという研究結果は、女性にとっても安心で嬉しい報告となりました。
排卵から月経のために、日々働いてくれている女性ホルモンによる体の変化にも、低用量ピル(経口避妊薬)は大きく関係していました。